弟を亡くして以来、「夜と霧」のような希望と生のことから、「ダンナ様は幽霊」のようなスピリチュアル系まで、貪るように読んでいる。
とあるスピリチュアルな本の中に、「故人に語り掛けるときは声に出さないと伝わらない」という言葉があり、それ以来、とくに弟への言葉は声に出すようになった。
今日も朝散歩をしていて、ここに弟がいたらと思ったら、
「ここも変わったよねー」
「昔ここにあった文房具屋さんがひなびた感じで好きだったんだけど、今はもうないかー」
なんて言葉を声に出して、無意識にぶつぶつとしゃべっていた。
声に出してぶつぶつと話したら、「ここにいたらこう言うかな」なんて考える間もなく、相槌やツッコミが聞こえてくるようで、独り言なのに、独り言じゃないみたいだった。
ターは、男の割には器用でおしゃべりで、何かしながら返事はできるし、会話を膨らませることが上手だった。
多分きっと、まだここに一緒にいてくれるんだよね。