柳美里さんのエッセイを読んでいたら、2010年3月11日のことが出てきて、「この日以来小説も映画も一切のフィクションを受け付けなくなった」とありました。
私は辛いときこそ本や映画といったフィクションに逃げていたけれど、ターのことがあってから、やっぱり柳さんと同じくフィクションが一切だめになったことがあったので、柳さんにそう書いてもらって、少し共感してもらえたような気になりました。
「だめになったことがあった」というより、今も、フィクションは好んで読むことはなくなりました。何を見ても読んでも、「家族が自死したことに比べたらなんてことないじゃん」と冷めてしまうから。
フィクションどころか、自分に子どもが生まれるという多分世間では喜ばしいことでも、どこか冷めてるもんな、自分。
ターを責める気はないけれど、自死というのは周囲の一生を滅茶苦茶にしてしまう。
「あー、幸せ」ということは言えなくても、せめてフィクションを楽しめるようになる日は来るのかな。