年齢は離れているけれど、仲の良いご近所さんがいる。
お茶しにいったり、ランチしては他愛もない話をしたり最近の小さな悩みについて語るような友達だ。
そんなKさんと先月お茶をしようと話していたけれど、予定していたその日は弟の葬儀になってしまった。
そのため一月遅れでつい先日、やっとお茶会実現となった。
改めて弟のことを話すと、Kさんは一緒に涙しながら聞いてくれた。
そして、彼女も、大学生の一人息子さんが就職や今後の人生について悩んでいる様子を打ち明けてくれた。
生き物が大好きで人間といるよりも生き物が好きで、生き物と過ごす時間を大切にするような心根の優しい子だ。
「でも、将来息子さん大物になりそう…」
そう言いかけるとKさんは
「ううん、ううん。ただただ、普通に生活してくれればいいんです」
と、私の言葉を制するように言った。
「とんでもない」とでもいうようなびっくりした表情が、その気持ちに嘘がないことを物語っていた。
本当に、ただただ普通に生活してくれればいい。
生きていてくれればいい。
二人とも言葉にはしなかったけれどそんな共通の思いで、また二人で泣いてしまった。
どうかKさんの息子さんには耐えてほしい。
何者にならなくても、希望通りの就職できなくても、生きていてくれればいいなと思う。