「ターが死んじゃった、どうしよう、どうしよう」という母の声を聞いたときから、私たちの人生は一変した。
その日から数か月間、毎朝ターがいないと思い、毎日どころか毎秒ターのことを思い続けてきたけれど、最近仕事が忙しいこともあり、やっと起きてすぐターのことを思わなかったなと思い返せる日が出てきた。
同じ頃、母の声も変わった。
私にはターが生きていたころと同じように聞こえる。
昔からの癖で、節をつけて猫に呼びかけることもあるし、たまに鼻歌すら聞こえてくることもある。
私は毎日泣いてしまうし、母も父も一人でいるときは涙しているかもしれない。
けれども、みんな、少しずつ元に戻ってきた。
元の家族にはなれないけれど、元の自分たちに戻ってきた。