7月7日の早朝に母がターを発見したとき、「起きて、起きて」と気が狂ったように声をかけていたそうだ。
「お母様の声が耳に残って離れません」
近所の方が、私にそう声をかけてくれた。
医療関係者だから何度も死を間近に感じているのに。
そのときターはもう冷たかったというのに。
もう足先や手先は紫色になっていたというのに。
それでも「さすったり、温めたりすれば何とかなるかもしれないと思ったんだ」と母は後から話してくれた。
私はその場にいたわけではないのに、見ていたわけではないのに、そのときのことをふと思っては涙してしまう。
ターを発見した母は、取り乱す母と冷たくなった息子を見た父はもっと苦しかっただろうなと思うと気が狂いそうになる。
以前涙の質が変わった、前進しているかもしれないということを書いたけれど、だめだ、また引き戻されそう。
去年の今頃は4人みんな笑っていたのに。
ターがいなくなったという消せない事実を抱えながら、この先どうやって生きていこう。