親子、友情、先生と生徒ものの「泣ける」と言われる映画や小説は好きだけど、恋愛ものの映画や音楽が苦手だ。(恋愛小説に至っては読むことすらない!)
恋人って所詮他人だし、いつ相手が裏切るかもわからないから、泣ける恋愛ものの映画を見てもどこか遠い世界に感じてしまう。
もう15年以上も前にバイト先の人が「恋人はいつ寝返るか分からないから、やっぱり自分にとっては家族が一番大事だなあ。所詮他人だもん」と言っていた言葉を聞いて、寂しいなあと感じつつも、それにNOと思えたことはなかった。
それは結婚してからも変わらなくて、夫には日ごろから感謝しつつも、それでもやっぱり血のつながった兄弟や親以上に大事かと聞かれたら答えに窮してしまうし、もともとの家族か夫かどちらが死んでしまったら悲しいかと思ったらやっぱりもともとの家族だろうなと考えてしまう。
ものすごく趣味の悪いことだけど、つい最近私は夫にこの質問をしてみた。
「両親や兄弟と私と、どっちを失う方が悲しい?」
すると意外にもあっさりと、
「そりゃ配偶者を失う方が悲しい」
という答えが返ってきて少し驚いた。
これまで何度か離婚も考えたこともあったし、とくに会話が多い夫婦というわけでもないのに。
ターがいなくなってからはもう、自分は健康に気を使う理由もないし早く全てを終えたいと思っていた。
けれど、血のつながった家族と同じかそれ以上に自分のところを見てくれる人がいるのかと思うと、生きててもいいと言われたような気がした。
そんなエピソードがあるくらいに自分は警戒心が強く人を信じることが苦手だけれど、ターはそうではなかった。
相手を好きになるとどんな悪い所でもいい所に思っていた節があって、でも、それが結局不幸の種になってしまった。
人を信じられる純粋な人が幸せを感じることが少なくて、所詮他人なんてとはなから信じようともしない人間の方が気分よく生きていられるなんて、なんて理不尽なんだろう。
ああ、やっぱりだめですね。
大好きだった弟を亡くしても、生きてればまあ幸せだなということがあります。でも、ターはそうじゃなかったと思って余計に悲しくなってしまう、罪悪感を抱いてしまう…そんな日々です。