弟が亡くなったその日、私は電話会議が入っていました。
休もうと思えば休めましたが、「こんなときだからこそ日常を過ごしたい。どうせ会議予定時間は警察がまだ鑑定しているので待つことしかできない。ぼーっと待つよりも働いていたい。仕事させてください」とお伝えして会議に参加させてもらいました。
「参加するかどうかは自由に決めてください。でも、本当にこちらのことは気にしないで」とのお返事をいただきましたが、初志貫徹で参加させていただきました。
家族が亡くなった、しかも自死だったということを伝えてしまっていたので、気を使うのは周りなのですよね。
通話がスタートしたにもかかわらず誰も口を開きません。
「いやー…」「ちょっと、ねえ…」「何と言ったら…」と会議参加メンバーを口ごもらせてしまいました💦
「始めましょうか。ええと、今日の議題は何ですっけ?」
いつもは聞き役・書記の私が、この日ばかりは先導を切らせていただき、ようやく会議がスタートしました。
会議終了後…
一人の上司からは「大変な中参加いただきありがとうございました、ご冥福をお祈りします」というメールが入りました。
そしてもう一人の上司からは、昔上司にお兄さんがいらして、亡くなったときにはお母様が部屋から出てこなくなってしまったという話をうかがいました。
実はこの方たちとはテレワークのみで実際にお会いしたことはありません。
職場仲間と言っても実はそんなに近い距離の方ではないのです。
近い方ではないにもかかわらず、こんなに気を使わせてしまってごめんなさい。
でも有難いなという気持ちが湧き出てきました。
そして同時に、弟には「ほら、お姉ちゃんの仕事仲間にまでご迷惑おかけしてるんだよ」と心の底で語り掛けました。
会議終了後、やっぱり弟は動きもせず、そして他殺の可能性はないということで警察が遺体をお通夜の場となる母屋の方へと運んでくださり、いよいよ弟はもう戻ってこないことを実感しました。
「しょうがないな~、でも、まあなんとかなるよ。ってか、なんとかしよう」
私の口癖だったこの言葉は、今回ばかりは何の役にも立ちませんでした。
もう、弟はなんとかなりようがないんだよなあ…。