母はターが亡くなった朝、「ターが死んじゃった、どうしようどうしよう」と取り乱していたにもかかわらず、「お姉ちゃん、帰ってこれる?」と私の都合を気にかけてくれた。
「お姉ちゃん、早く帰ってきて!」でいいのに…。
父は、ターが亡くなって涙もろくなっていたけれど、2,3日ひとしきり泣くと、あっさりと日常を再開した。
「後悔が尽きないね」と話しても、
「考えてもどうしようのないことだから、考えない」
と言うばかり。
気持ちが落ちることもあるだろうけれど、私がその様子を見たことはない。
故人の法律や相続、諸々の手続きについては「え?大丈夫?」と思うことは多いけれど、精神的なところでは、やっぱり両親にはかなわない。
数カ月前「両親に感謝はしているけれど尊敬というほどではない」なんて言っていた自分を殴ってやりたい。
ターにいたっては、何度も同じ話をさせてはデリカシーのない発言をする父にイライラして「もう話さないことに決めた」なんて言っていたこともあったっけ。
お父さんはターがいなくなっても、子どもが自死するなんていう世界で一番悲しいことにあっても気丈に振舞っていてさすがだよね、見直したよね。
そんなことを語り合える弟がいないなんて、皮肉なもんだと思う。
この両親のもとに生まれて、家族となれて良かった。
ターは「生まれてこなきゃよかった」なんて言葉にすることもあったし、苦しくて絶望もしていたかもしれないけれど、きっと「この家族で良かった」…そう思っていると思う。思いたい。
もともと両親・家族が誇れる人間になりたいとは思っていた。
けれど、ターが亡くなった日から、両親を見送ること、さいごに幸せだったと思ってもらうことを自分の人生の目標に追加した。