弟のターが亡くなって、警察や医者が検死しているときも仕事をしていた、というお話は書きましたが、心配していた母も大変強いものでした。
母は、高齢者施設で看護師として短時間勤務をしています。
ターがなくなった2~3日後くらいまでは「仕事、もうやめようかな」と言っていましたが、1週間経ったときには
「1週間も休みをもらっちゃった。人手足りないのにこれ以上休めないしね」
と、出勤していったのです。
私が言うのも変ですが、偉いものだな、大した人だと思いました。
父は父で、もう10年前に退職していますが、
「地域の役員を今年終えたら、朝の数時間でも仕事に出るか」
と言っていました。
さらに母は、ゆくゆくは自死遺族の助けになりたい、自死を考える人の救いになりたいという思いがあるそうです。
私たち4人の家族は、ずっと平穏無事に暮らしてきました。
一時期は弟がカードローンをしていたとか、入れ墨に憧れたとかピアスを開けてきたということもありましたが、つい数か月前まで4人で食事に行ったり、両親の結婚記念日や誕生日にはお祝いをするなど至って普通の、仲の良い家族でした。
弟が自死により亡くなるということで、そんな日が一気に崩れました。けれども、ガラガラとそこで”崩壊していく”のではなく、なんとか踏ん張ろうとしている両親。
今回ほど、親というものの強さを実感したことはありません。
そして、私なんかは一人になったり友人知人からの言葉を貰うたびに泣けてきてしまいますが、仕事中はもちろん、ご近所の方に優しくされたときに涙を見せることもなく、気丈にふるまっています。
あくまで「ふるまっている」だけでしょうけれど、強いと思います。
本当に、強い。
私の「弟を失った辛さ」と、両親の「息子を失った辛さ」は比べられるものではないかもしれませんが、子どもを先に死なせてしまった親の気持ちというのは気も狂わんばかりではないでしょうか?
でも、なんとか踏ん張ろうとしている両親を支えていくのが私のこれから一生をかけてしなければいけないことだと思うのです。