ター、お父さんは最近サプリを飲むのを辞めたんだよ。
「お母さんより長生きしたくないからな」
だって。
20代で母親を亡くし、40代のときに父を、そして子供のように可愛がっていたという4つ下の弟すらも50代のときに見送っている。
そして70代になって自分の子どもが自死。
仕事の文句を一言も言ったことがなく、よく私たちと遊んでくれた。
雪の日にスリップしている車を見たときには何も言わず一緒になって車を押したり、近所でヘビが出たと言えば自分も怖いのにつかまえにいったり、お家賃が滞っている店子さんがいても事情があるからとせっついたりしない、善良を絵に描いたような人だ。
ターはお父さんのことをマイナス思考だとか人の嫌がる言葉をさらっと言うとか悪いところばかり突いてたし、確かにそういうところもあるけれど、本当はターも私もお父さんが大好きで尊敬していたよね。
ター、あんた、両親にひどい傷を負わせたのだから、受けるはずだった幸せをお父さんに分けてくれないかなあ。
私の幸せを捨てても、お父さんには幸せになってほしい。
どうかお父さんのこれから最期までの時間は幸せだけが訪れてほしい。