ターが亡くなったその日は火曜日で、いつも通り出勤するはずだったので、母はお弁当を用意していた。
予定の時間になっても起きてこないターを見にいき、おかしな場所で寝ているなあと思って中に入ってよく見たら、ターはもう冷たくなっていたそうだ。
看護師として働いている母はこれまで何人もの患者さんを見送っているのに、こういうときは正常な判断なんてできないものだろう。
「温めれば起きるかもしれないと考えて、必死で声をかけてさすった」ということを後から聞いた。
その後、あるきっかけで自死遺族の方とお会いすることがあり、お話を聞いたらその方も看護師をされているそうだ。
「自分の家族も救えないのになんで看護師やってるんだろうって思うんですよ」
少し前に母が呟いた言葉と全く同じことを、その方も仰っていた。
私は、生き物の命はきっと運命をもって生まれてくるものだろうから、結局は自死を含めた寿命なんてその生命体が生きる力にかかっていて、看護師だって医者だって、神様にすら命を助けるなんてできないと思っている。
母ももう70歳が見えてきたので、現役として働けるのはあと少しだろうから、最後は「この仕事でよかった」と思って終わってほしいなと思う。
私はもちろん、ターも、看護師として働き、その仕事にかける母をとても尊敬している。