実家では曾祖父、祖父がとくに頑張ってくれたおかげで、土地や家を貸している。
といっても良かったのは祖父の代くらいまでで、その後は相続税は高額だし、貸家のリフォーム代やメンテナンス代も馬鹿にならないので、さあどうしようかというところ…。
今は父が管理してくれているけれど、もしも両親の介護費用がかかったら売ることも考えないといけない。
いずれはターと私で考えていかないとなあと思っていたのに、ターの方は、
「僕はそういうの分からないからお姉ちゃんに任せようかな」
なんて言っていたらしい。
亡くなる数カ月前のこと。
それがこんなことになって、私一人で相続しないといけないなんて。
実家に帰るたびに、そこここにターの思い出がよみがえってきて苦しい。
この土地のおかげで、私もターも不自由のない暮らしをさせてもらえたのだから本当に有難い環境だった。
それは分かっているけれど、先祖代々のこの土地が苦しい。
もう全部手放して、誰も知らないところに行ってしまいたいけれど、いざ手放したらものすごく後悔する気もする。
こんな気持ちもいつか変わるといいのだけど。
まだ両親とも元気だからきっと10年、20年先のことだろうけれど、ターがいなくなってから土地について明るい方向に考えることができなくなってしまった。