母とバスに乗ったとき、ばったり母の元同僚に会った。
私は会話に入らずに後ろの席から二人の会話を聞いていたのだけど、しばし沈黙の後、母が「息子が亡くなってね」と言っているのが聞こえた。
「え!…私の電話番号知ってるよね?電話ちょうだい」
その方はそう言って、その後はそうかそうかとうなずいてくれていた。
あまり多くを語らないけれど要点をズバッと言う姿がかっこよかった。
母の周りは子どもに先立たれた経験のない人ばかりで、自死自体も遠い存在という方が多い中、その元同僚さんの存在は心強いと思う。
私も同じような人たちに救われた。
仕事でもうだめだ苦しいという話をしたときに「今から行こうか?」とサッと聞いてくれたSさん。
お付き合いのあった期間はほんの1年ちょっとだったけれど、あのとき間髪入れずに「行こうか?」と言ってくれたことが嬉しくて、それだけでもう大丈夫と思えたっけ。
そして、前にも書いたけれど、ターが亡くなったと聞き実家に向かう駅のホームから電話をかけたときのYさんの反応にも救われた。
「自分がお送りするんで、とりあえず電車ストップしましょう。そちらで待っててください」という言葉がどれだけ心強かったか。
悲しみに寄り添える人は瞬発力を持っているのかもしれない。
自分は鈍いし瞬発力もないけれど、こうありたいという人たちと出会えただけでも良かったし、少しでも近づきたいなと思う。