ターは、本好きだった。
国文科だったのでもちろん夏目漱石や太宰治、谷崎潤一郎のような古典も好きだったのだけど、あまり古典の素養のない私に合わせてくれたのか、よく話したのは中島らも、向田邦子、東海林さだおのようなエッセイ作家のことばかりだった。
向田邦子の美しい日本語に感動し、東海林さだおの言い回しに笑い転げるターとの時間は、間違いなく私の人生の大切なパーツのひとつだった。
そんな思い出が根底にあるからか、「エッセイを図書館で借りて幸せ~」なんて言っている自分の夢を見た。久々に見る気持ちのいい夢だった。
「全然関係ないと思われるようなことの中に答えが見つかることがある」という言葉を見つけたのは、いつ、どこでだっただろう。
もう、ターが思いつめた理由やその時の行動を深追いすることはやめたつもりでいたけれど、どこかに答えを求めてしまう。
これも夢のお告げかもしれない。手に取るエッセイの中に何か自分が求めている言葉が、答えがあるのかもしれない…なんてことを考えてしまった。