先日「誰か弟の話を聞いていたら結果は変わっていたかもしれない」と思ったのだけど、そう言えば、今思い返せばあれが弟からの助けてサインだったのかなということがあった。
どちらも亡くなる数日前のこと。
母が物置で作業していたときに
「僕のいい所って何?」
突然に弟が、母にそう問いかけたそうだ。
「何度か職場変わってもそこで一生懸命頑張ってたし、大通りにうずくまってたちび猫を拾ってくるっていうのもなかなかできないことだし…」
母は、あえてさりげなく話した方がいいかなと思い、作業しながらとくに目を合わせることもなく、そう言ってやった。
すると、
「ふーん」
と言ってスッといなくなってしまったそうだ。
また、普段はあまり会話をしない父の部屋にもやって
「ちょっとここで寝かせてもらいますわ」
と言い、ぽつりと失恋してしまったことを父に話した。
「じゃあ次に進めばいいだけじゃないか」
と助言したら、くるっと後ろを向いてしまったという。
別の日には、父のちょっとした言い方が気に障ったようで
「死ね!死んでくれ」
と父に暴言を吐いたそうだ。
そんなことを言うもんじゃないと母が諫めたら
「イライラするんだよ」
と言って部屋を出てしまった。
もうこの時点で自分をコントロールできなくなっていたのだろう。
一応その後和解はしたもののその数日後にあんなことになり、何度も「”あのとき”に、きちんと話していればよかった」と後悔している。
欲しい答えが得られないと思ったのか。
何を聞いても慰めにならないと諦めてしまったのか。
ターの欲しい答えなんてもともとどこにもなかったのかもしれない。
ただ言えるのは、母や父が話をきちんと聞いてやれなかったから弟を救えなかったと悔やむ必要はないということ。
きっとターも、「親が話を聞いてくれなかったからこんなことになった」なんて思っているはずはないから。
それにしても、ター。
あんたの助けてサインは分からなすぎだよ!
「もう生きていたくない」って言ってくれたらどうにか助けにいったのに。
鈍い姉にはわからなかったよ。